2011年11月17日木曜日

講義録:さんぽの予習

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担当:中島和成
参加者:2名
日時:11月17日(木)
集合:15:30
場所:東向島駅
11月19日に開催される墨東まち見世のさんぽ企画「こんな隙間から!?、スカイツリー撮影さんぽ 」の予習を行います。墨東の散歩初心者の「まち歩き」を支援する授業です。
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墨東まち見世2011のさんぽ企画「こんな隙間から!?、スカイツリー撮影さんぽ 」まで、明後日とせまった本日、
当日行う下見を講義に組み込んでみました!

当日はただスカイツリーの撮影をするだけではなく、東向島や向島、京島に住む方々に、『スカイツリーが出来て、どういう想いを抱いているのか?』などのお話を聞いてみたいと思い、日頃お世話になっている方々に当日のご予定などをお聞きしに行きました。もちろん、『え、こんな隙間から、スカイツリー見えんの?』という場所のチェックも忘れずにチェックしてきました。

まずは、東向島、向島周辺から歩き始めました。


……
………
…………
……………

お知り合いの方にお話を聞きに行くものの、急のお願いということもあり、
なかなか19日のスケジュールが合う方はいらっしゃいませんでした。


(ここまでみなさん予定が合わないものかと、紹介した自分に焦りが走り始めました。)


さて気負とり直して、次は京島に向かうことにしました!
去年、まち見世2010のさんぽ企画で行った方のスカイツリー撮影スポットを巡りつつ、
明後日のさんぽでオススメしたい場所を巡りながら歩きました。

そこで発見したこのスポット、どうでしょうか?


長屋の間にそびえ立つように見えるスカイツリー、風情があってなかなか良いと思いませんか?


ついに、自分が一番自信を持って紹介できるスポットにやって来ました。
そう、京島南公園(通称、マンモス公園)。


これは、かなり好評でした!!!
でもこの写真を撮影するのに、参加者の方は少し苦労していました。
その「なぜか?」と、この光景を生で感じたい方は、
是非京島南公園まで足を運んでみてはいかがでしょうか。


そしてようやく、キラキラ橘商店街に到着しました。
そこでは、肌着の大和さん、京島校舎前にある果物屋のおかあさん、山田屋薬局の藤井さんともにお話を聞かせて頂けることになりました。藤井さんに至っては、当日にスカイツリーの撮影スポットを案内していただけるそうです。

最後は、東向島珈琲店で本日の振り返りと、
そこのマスターにも当日お話を聞かせていただけるかのお願いをしました。
すぐ、快くOKしてくれました!

そのまま東向島珈琲店で明後日の進め方などの話をしていると、
お知り合いの方が次から次へとやってきました。(どうやらこれから、打ち合わせをするとのことでした)


(自分毎ではありますが、2009年からの現在まで3年間の集大成と言えるほど、お世話になった方々にお会いできて、嬉しかったです!)

2011年10月31日月曜日

講義録:まちに絵を描く

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担当:安田駿一
参加者:3名
日時:10月31日(月)
集合:13:00
場所:墨東大学京島校舎
GPS端末を装着して、墨東エリアを歩きながら、GPSの軌跡で絵を描きます。地図を広げて何を描くかを決め、そのルート通りにGPSロガーを装着して歩いてみます。
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10月31日(月)、墨大講義「まちに絵を描く」の参加者(大崎、中島、岡部)は京島校舎に集合し、iphoneの画面に映し出された墨東の地図を覗き込みながら課題の打ち合わせを始めた。天気も恵まれ、墨東エリアのまち歩きには打ってつけの日程となったが、今回のフィールドワークはまち歩きの振り返りとなるフィードバックの"趣旨"が今までと異なる。「この道を歩いたから、hogehogeのような発見や出会いがあった」といった具合に、フィードバックの中で様々な感想が生まれるはずだが、本講義ではまち歩きのルートを参加者が歩いている中で無意識的に考え、且つフィードバックの内容の充実をゴールとしていない。立ち止まった位置情報やそれらに付随する情報よりも、むしろGPSでトラッキングしていく"かたち"が味噌になっている。

フィールドワークをしている中で軌跡を残していくという作業は、たいていはGoogleMapなどを利用することで可能となり、後ほど自分が歩いたルートを確認するというものが一般的だろう。本講義は軌跡(の形状)を予め決めておき、参加者はそのかたちを意識しながらまち歩きを行なうというものだ。

今回はルートの確認をまち歩きの中で随時行い、画面に表示される進行方向と現在地を頼りに、描きたいかたちに忠実に歩くことが前提にある。参加者3名がスマートフォンなどのGPS機能を搭載した端末を片手にそれぞれが思い描く"B"を意識して墨東エリアを歩いた。共通の意識にBokutoの"B"のイメージがある。使用するのはスマートフォンアプリのジオタグアプリケーション"EveryTrail"である(日本語非対応)。まち歩きを開始するその瞬間からアプリを起動し、要所要所で撮影した面白いと思った場所や"、B"を描くうえでネックになるカールの部分などの写真もジオタグされていく。

過去のフィードはまち歩きの中で得られた気づきをもとに、京島校舎の黒板の地図上に感想をチョークで書き込むことで、「それぞれのスポット毎にどのような発見があり、どんな人と遭遇したのか」を共有した。今回はそれらの情報を同時的に残していくことが可能で、ゴールした学生からまち歩きの結果をオンラインにアップロードすることで、出来上がった"B"の軌跡をシェアすることができる(twitterやFacebookなど)。それぞれが、たどる"B"の軌跡がどのようなかたちになるのかワクワクしながら集合場所を目指した。

今回の講義は「まちに絵を描く」ことなので、GPSが筆とパレットとなりMapが画用紙のかわりになっているが、いわば「まち」そのものが画用紙になり、そこを歩く私たちが筆になっているということに気付く。蟻の習性に、「ボールペンで紙の上に線を引くとその上を奇麗に歩く」というものがあるが、今日の講義はまさにそのような感覚に近かった。まち歩きの範囲は限定せず、かたどりやすい道をそれぞれが歩く楽しみが生まれた。アプリは写真を時系列に残すことが可能なので、追体験できることもこの講義のメリットだろう。

[以下、参加者の"B"の軌跡]

大崎(画像有り) 歩いた距離:2.2mile 歩いた時間:1h
http://www.everytrail.com/view_trip.php?trip_id=1345138
岡部(画像無し) 歩いた距離:6,6mile 歩いた時間:2h
http://www.everytrail.com/view_trip.php?trip_id=1345148
中島(画像無し) 歩いた距離:1.6mile 歩いた時間:2h
http://www.everytrail.com/view_trip.php?trip_id=1345154

写真1:スタート地点、「天真庵」にて。


写真2:"B"の曲がり角の四差路。


写真3:ゴールはやはり「天真庵」。角度の他にも、印象として変わって見えてきた。
大崎敬志朗


--------------------------以下、参加者の感想↓

 誰よりも完璧な「B」を描こうとした。そのためには、辛くても「大きく描く」ことがポイントであると考えた。6号線にぬけて八広まで歩く道程は修行だったが、その後「B」のカーブを描く時になると、(GPSロガーのペースにあわせて)自分の歩みを遅くしたり、身体をコントロールしていることに気付いて面白かった。自分の歩いた軌跡がにょきにょきと「意味」を獲得していくことは、私の歩調を軽やかにしてくれた。特に「B」のカーブを描く際、ちょうどよいところに公園や「斜めに抜けられる空き地や道」があると嬉しくなった。
岡部大介


 川を挟んで「B」を描けたら、最後にマップ上で確認した時、面白いのではないかと考えました。なので、天真庵さんを出発し、北十間川を渡り、浅草通りを「B」の縦棒にすることに決めました。
歩いていると、『あれ、完成した「B」だけじゃつまらなくないかな。やっぱその過程も大切だよな…』ということで、急遽「B」を完成するまでの過程を写真に収めることにしました。

その①
『仕切り直して、ここからスタートだ!』

その②
『あれ?まっすぐ進んでるに、なんでまっすぐ線をひかないんだよ…』

その③
『よし!修正してくれた。ここを「B」の中間というか、交わるとこにしよう』

その④
『ここまでで「B」を描くことにしよう!』

その⑤
『またか。なんでまっすぐ歩いてるのに、内側に線がひかれるの…』

その⑥
『後は、天真庵に戻るように「B」を描いて行けばいいかな!』

その⑦
『なんでこういう時は、線をまっすぐ引くわけ?ちょっと内側に入ってほしいのに…』

その⑧
『あ、丸みを帯びれてきた気がする』

その⑨
『路地に入れて、いい感じにできてきた!』

その⑩
『せっかくいい感じにできてきたのに、マンションが邪魔して、曲がれない』

その⑪
『まっすぐ行きたい所で、微妙にまっすぐ描けない。いつもなら気にしないのに…』

その⑫
『あれ…川が邪魔して、これ以上進めない。手を伸ばしたら、少しでも線が引けるかな…笑』

その⑬
『いい感じに、途中まで重なるように戻れてる!』

その⑭
『丸みを帯びさせたかったけど、角張っちゃった』

その⑮
『公園を斜めにいけるこの感じ、直線を描けてる。これはイイ!』

その⑯
『ここから、どうやって丸みを帯びさせていこうかな…』


その⑰
『スカイツリーがよく見える!せっかくだからスカイツリーをバックに撮ってみよう』

その⑱
『路地が入り組んでそうだから、小刻みに動けばいい感じになるかもしれない!』

その⑲
『あれ…?ゴールまで、残りまっすぐな気がする』

その⑳
『ゴール!最後は、出発した天真庵をバックに記念撮影でいいかな』

その②①
『地図を縮小してみよう。なかなかいい感じに描けたんじゃないかな!』


所要時間約35分でした。自分が想像していたより、意外と早く戻って来れました。面白くて、時間が経つのも早く感じたんだと思います。
次から次へと、色々な遊び方が浮かんできました!是非、またやりたい講義です。

(注:『』の中は、その瞬間、瞬間に自分が心の中でつぶやいていたことを文字に起しています。決して、声に出して独り言を言っていたわけではありません。)
中島和成

2011年6月27日月曜日

【「四コマ」でまちを表現しよう!】の裏側

いよいよ、企画から準備まで行った講義を開講することになった!
講義内容を墨大のHPにアップしてもらってからはというもの、誰が参加してくれるのか楽しみで仕方なく、ほぼ毎日参加者の欄をチェックし続けた。

…がしかし、一向に参加者が増えなかった。
『所詮、自分が考えたことなんて相手にされないのか』、『自分の人脈って低いなー』とか思いつつ、当日を迎えた。もしかしたら、講座当日の15時になったら誰か飛び入りで来てくれるのかもしれない、とか期待に胸を膨らませていた。前日の夜も『どんな感じに進めていこうか?』、『どんな四コマににしたら、ウケるのかな』など考えながら、就寝した。

結局15時になっても、参加者は現れず、「15時に京島校舎のシャッターを下ろして、まちにネタを探しにいく」というスケジュールを変更して、1時間校舎内でネタを探した。『さすがにもう誰も来ないのでは?』と思い、16時にシャッターを下ろし、ネタを探しに出掛けた。

ネタ探しの最中に恥ずかしかったことと言えば、京島校舎にいたダッフィーを連れ出してポケットパーク内で撮影を行ったこと。人目につかないのでないかと思って選定した場所であったが、一人またひとりと通りがかりに横目でちらちら見られた。別に悪いことをしてるわけではないのだが、20歳を越えた男がくまのぬいぐるみを被写体として撮影してることに後ろめたさを感じていた。
どうしてもコマに自分を登場させたかったので、シャッターを切ってもらうお願いもできなく、セルフタイマーで撮影を行うことにした。

セルフタイマーの時間調整を間違えての一枚…


ちょうど雨が上がっていたので、そのまま京島南公園まで行き、気になったものを所々写真に収めた。

京島校舎に戻ってからは、四コマの編集作業をパソコンで行う予定だったが、カードリーダーを忘れてしまい、デジタル一眼で撮影した写真をパソコンに移せず、紙に下書きを行った。企画を行う者として、準備が足りなかったなと反省。この期に及んで、『参加者がいなくて良かった~』と安心している自分がいた。

今回やってみて…
実際の大学の先生やアーティストさんなどにとっては、参加者をもたずに講座をやることはおそらく新鮮で新しい発見があるかもしれないが、自分にとっては「(自分の作った四コマの)反応がもらえない」ことや、「他の参加者の視点を知ることができない」など、この講座に意味はあったのだろうかと不安に感じた。そこを通りがかった方に「シャッターを切ってもらう」ことや、「自分の作った四コマを見てもらい、反応をもらう」ことができればいいのだが、まだどうもそこの段階まで踏み切れなかった。
これにあきらめず、また企画をしてみよう!

果物屋のおかあさんから、『今日は、おにいさん一人?』と話しかけられ、バナナを頂いた。一人の時にバナナを頂けたのは、なんとこれが初めて!
通りがかりに差し入れを頂けたりする関係性(こういうなんて言うのでしょうか。気兼ねない関係性?)を創り上げていきたいと考えている。そのためには、果物屋のおかあさんや、まちの人にとって、もっと目に見える形で還元していけたらいいのだけど、と思った。

中島和成

2011年6月26日日曜日

6月26日〈墨東大学〉大学日誌

キラキラ橘商店街のHPで、朝市があるという情報を入手した私は、『良い機会だし、京島校舎も朝市に合わせて、シャッターを開けよう!』と考えた。しかし、寝るのが遅かったため(言い訳に過ぎない…)、朝市の時間に合わせて起きるのに失敗した。

そのタイミングを逃した私は、『お店は朝早くから頑張っているというのに…』と勝手に気まずさを感じて、まずシャッターを半開(校舎内から見て、左側のシャッター)させた。数分考えた結果、鯛やきを買いに出掛けた。その時に、『こんにちは~』と言う!これが現在、自分なりの挨拶の仕方である。

鯛やき屋:今日も来てたんですか?
中島:昨日、泊まったんですよ!
鯛やき屋:泊まれるんですか?へぇー
今まで泊まったいたことを知られていなかった。知られたからと言って、何か得することがあるわけではないが、一緒に京島で活動していることを再度告知できたのではないかと思った。

この会話の流れに便乗して、今まで渡すことができなかった墨大本をお渡しした。ちょうど岸井さんが登場しているページを見て、『この方も関わってるんですか?』と聞かれた。昨日、果物屋のおかあさんにも『一番最初にここ(現京島校舎)に来てた人が、昨日来たよ!』と話してくれた。墨東まち見世のロビーとして、地域にかなり根付いていたのだろうなと、改めて100日間のすごさを実感した。
墨大本を手に取って下さった鯛やき屋のおにいさんは、『今度じっくり読んでみますね』と言ってくれた。

今まで気付かなかったが、日曜日は子どもを見かける回数が多いことを知った。確かに日曜日は、学校も休みだし、近くに公園もあるので子どもたちの行き来が多いのかもしれない。しかし気になったのは、子どもたちが鯛やき屋さんの前を通るたびに、挨拶したり、そこに居座ってはおにいさんとおしゃべりをしていた。今まで編み物の講座など、編み物の好きなおかあさん方をターゲットにして行われたものはあったが、子どもをターゲットにしたものはなかった。土日祝日、子ども向けに何か仕掛けられたら面白いかもと感じた。

何か使えるかもと思い、昨日行われた講座【クロタヌキ教授の「巣学IA」】で使用したソーラークッカーを京島校舎内で展示しておいたら、意外と気になって見てくれる人が多くて、話のネタとして使えることができた。鯛やき屋さんに行ったときも、『ゆでたまごできましたか?』と聞かれた。目に見えて、なおかつわかりやすい感じがいいのかもしれないと感じた。

日曜日には、子ども以外にもたくさんの人がキラキラ商店街を行き来している気がするのに、日曜定休日をしているお店が多いのはもったいないなと寂しさを覚えた。

今の京島校舎は、壁に大きな紙が貼られていなかったり、物がかけられていたりしないせいか、以前よりチラ見をされる回数が減ったような気がした。墨大の活動が浸透したのか、興味が薄れているのか…なぜだろう?個人的には、チラ見をされるのは恥ずかしいので、されなくなったのは嬉しいが、お話をする回数が減ったのが少し残念だった。


いつものパターンというのも失礼だが、お隣のもつ焼き屋でお酒を飲んでいたおじさんには話しかけられる。興味をもったのか、墨大(私)に絡んできた。今イチオシのソーラークッカーの話を持ち出すと、『そんな農大みたいなことしてねえで、もっとこの商店街の役に立つことやれよ!』と言われた。味方につけたら、とても力強そうな方だった。話も盛り上がってきたので、私は校舎の外に出て、その方とお話をした。『(京島校舎で)楽器を使って音出したりさ、(商店街を使って)フラダンスやったりとかさ、協力してやるからそういうことをやれよ!』と言ってくれた。そういえば、ラジオや墨大の校歌といった案はどこへいってしまったのだろうか。ラジオやりたいなー。今度聞いてみよう!

そして話題は、私の地元(群馬県太田市)のことに!
地元のことを知っていてくれて嬉しかったのだが、どうも私が生まれた前のことで、話についていくことができなかった。地元のことぐらい自信もって話せるようにしておかないと、せっかくイイ話のネタになってもついていけないのがもったいなかった。

また、『どこの学生だよ?』と少し馬鹿にされた感じで聞かれた(あくまでも自分の勝手なイメージです)ので、『慶應義塾さんと東京都市大学が(この活動に)関わっています!』と答えた。聞かれているのは私の出身大学なのだが、一発で理解してもらえる「慶應」という名前を先に出して、強調した。知名度も高いし、高学歴でもあるので、大学のことで馬鹿にされないだろうと考えている自分がいた。
こういう風に考えてしまうのも、キラキラ商店街に店舗を構えているご近所さんにはいないのだが、何十年もここ(京島周辺など)に住んでいる人たちにとっては、墨大の活動を不透明に感じ、悲観的に話しかけてくる人が多い。そのため、その予防線として、「慶應義塾大学も関わっている活動である」とアピールしておきたいのであった。


私が京島校舎の外に出ていると、おばさんに『ここ何やってるの?』と話しかけられた。私はそれに返答すると、『コミュニティ広場みたいなとこなのね!』と解釈してくれた。果たしてこの解釈で正しいのだろうか。未だに人に分かりやすく説明することが不慣れでなのである。人に分かりやすく伝える「決まり文句」みたいなことを考えておかなきゃいけないなぁ…


校舎内にあるガチャガチャを目掛けて、子どもが入ってきた。普通の人なら校舎内の様子を伺いつつ、中に入ってくるので、気持ちの準備がある程度できているのだが、突然のこと過ぎて、少し動揺していた。『ここ何やってるの?』と聞かれ、とっさに『学生がお勉強してるんだよ!』と答えた。分かりやすく伝えることを心がけていたとはいえ、『これは言葉として全然足りなすぎるよな…』と自分自身で反省した。その子どもはリアクションもなく、母親の元へと去っていった。

シャッターを下ろそうかと考え始めた頃、いつもやってきてくれるおじさん(前回、政治や、電車内における学生のケータイに関するマナーについて話してくれた方)が来てくれた。『「墨東大学」?なんで勝手にそんな名前つけてやってんだよ』、『最近の学生は、平気で人を殺したりするからな』や、『この漢字、「勿来 」読めるか?「なこそ」って読むんだよ。なんでこんな当て字作るかな』とか、他にも政治の話など、それらを代表して自分が怒られている気がして、謝った。途中からすごく不愉快な気分になり、早く帰ってくれないだろうかとさえ思い始めた。
すると今度は、校舎内にあるものに興味を示した。まずは、墨東大学の制服を纏ったダッフィーを手に取った。『何着てんだ?これ』と聞かれた。帽子がボンドで接着されているのがわかると、それを剥がそうとし始めた。それをされたらまずいと思い、私は剥がすのをやめてもらった。
その方が次に気になったのは、【みんなで昼寝をする。】の卒業制作展のために作ったパネルであった。1枚目の渡邉くんのボードを見て、『「おうふ。」ってなんていう意味だ?』、『横文字(そこに書かれていたのは、mixiやコミュニティ)書かれても、意味がわからないし、読めない』と言われた。作成者は私だったので、自分が批判されているかのようで、もう聞かれたことに対する返答が少しいい加減になってしまっていた。
そして2枚目の大間知くんのパネルも見始めた。これこそ何か言われそうで、正直見てもらいたくなかった。気付かないで、そろそろ帰ってくれないかなとさえ思っていた。しかしこれが意外と好評で、『面白い!地図がいいなー』と言ってくれた。それを言われた瞬間、自分のテンションも上がってきて、自分からバシバシ説明をし始めた。『また見に来るから。ここ何時から何時までやってるの?』と聞かれた。わざわざここ(京島校舎)のために来て下さるのだろうか。しかも「また来るから」と言って、本当に来て下さるので、ありがたいことだなと感じた。約1時間お話をした。

中島和成

2011年6月25日土曜日

課外活動(【クロタヌキ教授の「巣学IA」】編)

【クロタヌキ教授の「巣学IA」】に講座に参加した!

10:40分頃、京成曳舟駅で立石さんと合流。
立石さんとは、以前向島・京島のまち歩き以来だった。事前に企画の内容を読んで、『要するに「巣」を見つければいいんだろうな!』といった浅はかな知識だった。
11時になるにつれ、アートユニット「クロタヌキ」の方々と参加者が集まった。自分以外、知り合いの方同士だったので、人見知りの激しい私にとって、少しばかり不安だった。

私が先陣を切って、京島校舎まで道案内をした。
京島校舎に着いてからは、本日の講座の説明と、おそらく本日のメインの一つでもあるソーラークッカーの準備をした。
『えっ、これでやるの?』と思わんばかりの画用紙一枚…


これを説明書通りに組み立ててみると…


いかにも太陽の光を吸収しそうな形へと姿を変えた!
準備が整い、校舎の前に全員分のソーラークッカーを並べた。


道行く人やご近所さんが興味をもってくれ、話しかけてきてくれたり、その場に立ち止まって覗き込んだりと、ちょっとした話題を呼んでいた。
しかし今日はあいにくの曇りだったので、果たして生たまごがゆでたまごへと姿を変えるのか不安を残しつつ、京島校舎を出発した。

それぞれが商店街で色々な総菜を買い、京島南公園で昼食をとった。


こんなにもよりどりみどりなのは、初めてかもというぐらい豊富な数々の総菜。
その中で異彩を放っていたのが、「チキン餃子」。テレビでも取り上げられたらしい。餃子の具を鶏皮で包んでいたのかな…。美味しかった!!

そして、いよいよ巣探しに出発!
私の案内のもと、向島百花園を目指した。いつの間に、人に向島・京島の道案内するまでになったのだろうか。この周辺の地域に詳しい人がいると思うが、果たして満足してもらえるような案内が私にできるのだろうかと不安に思っていた。

どうやら、立石さんが巣を見つけたようで…


この講座のメインは、「見つけた巣に自分が入って、それをチェキで収める」というものだった。チェキの即時性には感動した。最近、デジタル一眼でなんども撮り直して、気に入った写真を選んで、自宅に帰ってから情報を共有していたのに対して、チェキは撮り直しがきかないし(データとして消せない)、その場で共有ができたことが新鮮で面白かった。
『なるほど!こういう感じなのね』と、段々今回の講座を理解してきた。(私が見つけた巣については、最後にご紹介!)

鳩の街通り商店街を通り、向島百花園に到着!


ここまでの振り返りを含め、しばしの休憩。
すると突然の雨が!ふと頭の中に浮かんだのは、ソーラークッカーのことだった。この数時間でソーラークッカーに対して、異常なまでに愛着心が湧いてしまったみたいで、すぐ京島校舎に戻りたいと思った。

京島校舎への戻り際、巣になりそうな細い路地を選んで歩いてたら、道に迷ってしまった。クロタヌキの方に、『なかじくんがいなかったら、絶対道に迷ってたよ』など言ってもらえたのが嬉しくて、道に迷ったことを素直に言えず、iPhoneのマップをこっそり見て、京島校舎に戻るまでの道の確認をした。

京島校舎に戻ると、果物屋のおかあさんが『雨が降ってきたから、場所移動しておいたよ』と声をかけてくれた。突然の豪雨だったのにも関わらず、ソーラークッカーを心配してくれて、雨の濡れないとこに移動させてくれるなんて、本当に優しいおかあさんだなと、感謝の気持ちでいっぱいだった。
みんなでゆでたまごが出来ているか確認をした。


やはりこのお天気では、さすがにゆでたまごへと姿を変えていなかった。(半熟にも届かず…)

それぞれが自分の見つけた巣の写真を手に取り、完成させた図鑑がこちら!


このあと東向島珈琲店に場所を移して、それぞれが完成させた図鑑を見せ合った。立石さんやクロタヌキの方々は、「巣」を見つける際に、まず屋根があるかどうかを確認するらしい。一方で中島が見つけた「巣」には、屋根がなかった。
お互いのを見返すことで、自分になかった気付きを発見できて、面白かった!

中島和成

2011年6月12日日曜日

家庭科:大人の直線縫い講座



6月12日(日)くもり
参加人数5名
教員:松浦李恵、荒木夏実

「せんせーは我慢との戦いなのです。」
この授業は墨東大学の制服(海外の大学にあるマントのような)・チアリーダー・Tシャツを直線縫いでダッフィー(クマのぬいぐるみ)サイズで作る授業です。




講師である私は、当日までに、衣装のサンプルをつくり型紙を用意して当日を向かえました。向島校舎の椅子やテーブルを端っこにどかせて、その上にミシンを2台並べて設置。床にはブルーシートをひき、上からひざ掛けをひいて実習室の完成。靴を脱いで作業してもらうようにしました。私が家で作業しているスタイルに近づけました。

授業開始。
今まで人に事を教える機会があまりなく、自信がありませんでした。ですが「生徒に絶対手を出さない(変な意味ではなくて)」と心に誓って授業を始めました。これは、私が手を出してしまったら生徒の作品ではなくなってしまうからです。



1着目は難易度の低い制服から。
切った型紙を布にあててチャコペンで型取りする作業。生徒から「なんでこの型紙でマントになるの?」「えっ、これは何処の布?」など質問責めが。最初のうちは、理解してもらおう!と頑張って説明したのですが、なかなか理解してくれなかったりしました。伝わらないもどかしさで気持ちがいっぱいでした。




ミシン掛けの作業。
普段一番速い速度でミシンがけをしている私は、一番遅い速度のミシンがけをただひたすら見守るというウズウズ耐久レース時間でした。縫い方、ミシンの使い方を教えてその後は見守るのみ。ただひたすらに。

たかだ直線、されど直線。




焼き鳥の香ばしい香りとガタガタとミシンをかける音が入り混じる向島校舎。入口に私が作ったサンプルの制服を着たダッフィーを看板の下に展示に可愛いーっと言ってくれて、話しかける一つの手段になっていました。私たちにとっても、校舎の前を通る人にとっても。商店街のド真ん中でミシンをかける異様な集団を気にならないわけがないと思うので、いいきっかけの
材料でした。

そしてみんなで同じタイミングで作業開始したのでだいたい同じ時間に完成。16:00過ぎでした。私の予定では制服・チアガール・Tシャツを作っても時間が余っちゃう事を予想していたのに、まさかの一着のみ・・・

初心者をなめていました。

私が以前リハーサルを行った時、制服を作るのにかかった時間は30分以内だったので、教えながらならかかっても一時間ぐらいだろうと思っていたのですが・・・・




また、完成した墨東大学の制服をみた通りすがりの方が「ここを切ったらもっと綺麗になるよー」と私の生徒に指導してくれていました。それを聞いて確かに!と私は一瞬、生徒になっていました。

初心者のなんで?なんで?な気持ちは教える側にとって、「そこ気になるのか」と新たな発見でもありました。また、効率の悪い動作にイライラしては負けなのだなと学びました。ましてやそれを生徒に悟られたら敗北。




先生とは接客業。
授業中はオンステージ。
舞台裏は職員室で。

2011年5月4日水曜日

講義録:「地図する」が気になる

木村さんが4月末に下準備をしてくださって、第一回の地図描きはじめの作業も終わっていて。あとは仕上げるだけ…!という段階でむかえた第二回。講義名が「地図を描く」ではなく「地図する」という動詞になっているのが妙に気になりつつも、つっこみのタイミングを逃してしまったまま、京島校舎にに向かった。

わたしが到着するともうすでに腰から下には地図らしきものが描かれていた。メンバーも数名集まっていた。約一名が、モチベーションが上がらないと不謹慎な発言をして木村さんに叱られた。あわてて食糧を買いに走った。できの悪い墨東大学生にも、お惣菜屋さんは優しい。大盛りのもつ煮と、塩と七味で味をつけた砂ぎもを買う(ビールは我慢した)。京島校舎に戻ってきたところで参加メンバーが揃っていた。開始の時間に。木村さんの「じゃあ、やりましょっか」という一声で作業の説明がはじまる。全員、自己紹介をしてから、午後1時20分頃より作業開始。

地図するグッズは、ラインテープとカッターと、鉛筆、消しゴム。あとは軍手もしくはタオルの切れ端。はしご。プロジェクター。木の板、延長コードになっている電源タップ。ペンキの下地塗りに使ったと思われるペンキ塗りセットも京島校舎に置いてあった。木村さんのご自宅の私物のようだけれど、妙に自分も買い揃えたくなる。ラインテープも猫のロゴマークがついていてかわいい。(墨東大学の校長先生は猫だという都市伝説を、一瞬思い出した)今回のメンバーで、ラインテープを使うのはほぼ全員(木村さん以外)はじめてだったのではないか。

しばしの間、かなり黙々と作業。3人づつぐらいが、壁に投影された地図にとりつく。疲れると戦線を離脱する。すっと次の人間が代わる。その繰り返し。粛々とテープを張りつづけ、3時間半ほどで壁全体が地図で埋まった。無駄口はほとんどなし。すばらしいチームワークだったことは疑いがない。ただ、記録しておきたいのは、プロジェクターの投影画像を複数に分割したときに、その間でスケールがずれてしまった場合「フォース」というものを使うらしいと聞いて、一ヶ所だけかなり無理やりカーブを補正した場所がある。@yookudさんは、ていねいに地図の誤差を少なくする方法を考えようとしてくださったのだけれど、ええい、フォースだ、とおもしろがって力わざを発揮してしまった。(きっと、わたしの適当さにあきれていたはずだ…。ごめんなさい…。)デジタルの画像を、ただ分割して壁面に投影すればすむはずなのに、なんであんなにずれてしまったのか、その仕組みが私にはまださっぱりわからない。誰か、教えてほしい。

時々、通りがかる人がこちらを気にしている。(ひそひそ話がよく聞こえるほど静かに作業していたとも言える)「なにやってるの?」と大きな声で話しかけてきた男性に「この地図をつかって地域の人とお話したりしたいんですよー」と答えたら、そんなのJ:COM(ケーブルテレビ)に聞けばいいよ、地域の情報いっぱい持ってるよ!と言われた。(なるほど、ケーブルテレビなら、どちらかというと墨東大学として出たい)それから、もっとスカイツリーの近くでやりなよ!とも。そうやって絡んでくれる人がいるのが嬉しいけど、なんというか、自分たちがここに楽しくて通っているということ以外、なにも伝えられずに終わる。通りがかった人を巻き込むところまでなかなか気持ちが回らない。お向かいの果物屋さんは「このあたりの地図を書いているにちがいないわ」とひそひそ立ち話をしていた。通りがかったきれいな女性は、わたしたちの作業を見て「なにしてるんですか?」と話しかけてくれ、墨東大学のことをなかじが説明したところ、なんとなく興味をもってくれた。

…あらためて「地図する」ってなんだったんだろう。その人たちに「ちょっと壁に地図していきませんか?」と誘ってみてもよかったのだろうか。もしかしたら、京島校舎とキラキラ橘商店街の通りの間にある心の「壁」のことだったんだろうか?

出来上がった地図を、プロジェクターの電源を落として全体を眺めてみると、なにも記入されていない、白いままの地図になる。どこが何なのかさっぱりわからない。いまのところ、いわゆる地図としてはあまり役立たない。途中で、墨東大学の場所に@tenteroさんが黄色い付箋を貼ってくれたけれど、あれがなければ、キラキラ橘商店街すらどこなのかわからなかった。そのかわりに、不思議な行き止まりの路地や、大きな通りに分断された曲がりくねった細い道が、浮かび上がってみえて、気になってくる。壁の右のほう。木村さんが鉛筆で下書きして、@yamakake_gohanが壁に身を寄せながらテープを貼り込んだあのあたりのことだ。とりあえず道のかたちだけがはっきりと頭に焼き付いている。いつかあのラインをたまたま通りがかったら、「あっ!」と気づくことができるだろうか。その前に耐え切れずインターネットで調べて行ってしまうだろうか。京島校舎に立ち寄った誰かが、謎に答えてくれるだろうか。これから、この白地図にいろいろなものが書きこまれても、この謎を忘れずにいられるだろうか。

地図を書いたら謎が増えた。知っているつもりの街が、真っ白にリセットされた。少なくともわたしは、このまちのかたちを知らないことがわかった。墨東大学第二期のスタートにふさわしいシンボルができあがった気がする。

(報告:香川文)