2010年11月30日火曜日

墨東カンバッチP はじまります(予告)

近日中に、京島校舎のガチャポンがオープンします。カプセルの中身は、墨東カンバッチです。いわゆる「ご当地バッチ」で、すべて一点モノになります。手づくりなので、ちょっとブサイクな仕上がりのものもありますが、許してください。
まずは、先日おこなわれた「カンバッチワークショップ I」で制作されたバッチを中心に、徐々に充実させていきます。
くわしいことは、別途、お知らせしますが、どのようなカンバッチがあるか、紹介文が届いたので紹介します。↓ 写真は「ちょうちんシリーズ」です。


【1】墨東メニュー(全8種類)
わたしはキラキラ橘商店街にあるおでん屋「おでん種 大国屋」さんのメニューを缶バッチにしました。夜7時をすぎ、ほとんどのお店がシャッターを下ろし始めているなか、店先で湯気をもくもくさせながらおでんを売っているお店を発見。墨東らしく、店長さんはとても気さくな方で、写真の要望にも「いいよー撮ってって―」との声。遠慮なく4、5枚撮らせていただきました。メニューはお店の壁の高いところに貼られており、値段ごとに一枚の紙になっていました。値段帯は60円から150円(160円?)、それに季節のおすすめも含め全部でちょうど8種類。
70円のバッチはわたしが持っていますが、みなさんぜひガチャガチャしてみてください!つくねがおすすめかも…!!(作:新飼麻友)

【2】ちょうちんシリーズ(全8種類)
このシリーズは、墨東大学京島校舎の周辺で見つけた、ちょうちんの写真を集めたシリーズです。
カンバッチを製作するためのフィールドワーク時、あたりは既に暗くなり、満足に写真を撮影することは難しい状態でした。そこで、私が目を付けたのは、まちの中で光り輝くモノ。奇しくも、京島校舎が位置しているのはキラキラ橘商店街です。写真を撮り歩いていると、あるモノが多くあることにきづきました。そう、ちょうちんです。居酒屋や中華屋、さらにはもんじゃ焼きやもつ焼き等、下町風情を感じるお店まで。店先には煌煌とした明かりがともっています。夜でなければ見ることができない、墨東のまちにひろがる星たちー光り輝くモノをひとつひとつ拾っていったのが、このカンバッチです。
たくさん集めれば、自分だけの飲み屋街を作ることができます。また、シークレットは、飲み屋で見つけた、おじさん達のキラキラとした笑顔。これも 夜にならなければ、見つけることのできないモノなのです。(作者:三枝峻宏)

【3】墨東ストレイキャッツ(全11種類)
墨東エリアに初めて訪れた時の写真を見返したら、そのほとんどがノラ猫でした。闇雲に路地を歩くと、曲がり角のたびになぜか猫がいることに気づきました。入り組んだ路地は猫にとって住みやすいのか、我が物顔で鎮座しているのが印象深かったです。そんな猫たちの写真を見返しながら、ちょっと誇張も含めながら墨東ストレイキャッツを缶バッジ用に描いてみました。どこにいるかは分からない墨東の猫たちなので、この缶バッジを持って歩いてもモデルに出会うことはできないだろうなと思いつつ、そんな形の表現もあっていいかなと割り切って作りました。どこにいた猫なのかは私にも分かりません。 (作:堀田洋子)

【4】キラキラキャラバッチ(全8種類)
京島キラキラ橘商店街で私が出会ったのは、個性豊かなキャラクターたち。
店の灯りでぼんやり燈る一本道を、のぼりや壁、屋根の上から見守っている彼らをみていると、おもわずほっこりした気持ちになります。その中でも厳選した8匹のキャラクターが今回のバッチのモチーフ。ここでしか出会えない温かさが、そこにはありました。
このバッチを引き当ててくださった方、是非商店街を歩いて、モチーフになった子を探し当ててください!(作:青木日登美)

他にも、続々投入予定。
カンバッチアーティストの皆さん、墨東エリアをモチーフとする作品を募集しております。「カンバッチワークショップ」も、何度か開講される予定ですので、ご期待ください!

2010年11月29日月曜日

11月29日〈墨東大学〉大学日誌

10時30分
レンタサイクルで借りていた自転車を返却しにアトレウス家へ行く為、シャッターを開けて外に出た。
向かいで果物屋を経営されているお母さんが『おはよう。昨日は泊まったの?今日は日差しが強くて、気持ちいいね。』と声をかけてくれた。朝、家族に声をかけられた時はいい加減に返事をしてしまうのだが、気持ちよく返答をした。

11時30分
自転車の撤去も終わり、シャッターを開けて、京島校舎を開放した。
いつもお世話になっている山田薬局のFさんや、さがみ庵のご主人が通りがかりに挨拶をしてくれた。
平日の商店街ということもあり、人通りはあるものの、横目でチラ見する程度だった。
気になった人は向かい側の果物屋さんのお母さんに聞くだけで終わってしまう状況だった。

まち見世でお世話になった方々に挨拶回りをするため、14時40分〜16時頃シャッターを閉めた。

戻ってシャッターを開けるとすぐ、お隣の「きくのや」のご主人と常連さんが見に来てくれた。
近くにあるガチャガチャに食い付いて、会話をした。
『来いよ!』と常連さんに誘われ、岡部先生の講義(加藤先生の代講)で学生が作成したカンバッチを持って、お店でたくさんの方に見て頂いた。
かなりの高評でさっそく服につけようともしてくれた。(最終的には戻してもらった。。)
常連さんに焼き鳥やいなり寿司、サンドイッチなどごちそうしてもらった。
そこでは墨東大学の話に加え、自分の実家や大学など少しお話をした。
どんどんお客さんも増え、京島校舎に戻った。

その後、Fさんが来てくれて、『もっとこうしたらここのスペースの使い方がよくなるから!』などのお話をして頂いた。詳しい内容ですが、28日のお引っ越し(加藤先生の講義)で搬入した畳を見て、『大きすぎて、地域の人が座るには抵抗がある。座ってもらえる一工夫がほしい』とのことです。他には、『外から見て、何をやっているのかがよくわからない。大学らしく講義名を書いた時間割など見てわかることを増やして欲しい。ネット上だけに情報をアップするだけ終わらせるのではなく、地域の人とフェイスtoフェイスで接してもらいたい。』などです。

20時30分
ようやく小学生が足を止めて、ガチャガチャを見た。
しかし中身が空だと気付き、すぐに帰ってしまった。
自分も早くカンバッチ作って、そのカンバッチを手にした人がどんな反応するか見てみたくなった。

斜め向かい側にある「白い鯛やき あん吉」の方がシャッターを下ろして帰る時、「白い鯛やき あん吉」の向かい側にある「きくのや」のご主人に『お疲れさまでしたー!』との挨拶をして帰っていった。
お互いが言い合える関係を構築していきたいと切に願った。

21時
シャッターを下ろした。


合計で6人の方が今日は立ち寄ってくれた。

中島和成

2010年11月26日金曜日

講義録:ミニマムアーバニズム I(木村)

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2010年11月20日(土)21日(日)26日(金)16:00〜18:00
講義名(担当者):ミニマムアーバニズムⅠ(木村)
開講場所:墨東大学京島校舎、キラキラ橘商店街
参加人数:1名

内容:受講者自身がインタビューによってまちに住む人の要望を聞き、椅子のデザインを考え、作成、納品します。
このプロセスから、「まちづくり」や「都市計画」の原点を見つめなおします。
※当初の予定ではキラキラ橘商店街の店舗前に設置するベンチを製作する予定でしたが、今回のクライアントである山田薬局の藤井さんの要望により、急遽店内で使用する椅子をつくることに予定変更。
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【一日目:11月20日】
今回の「ミニマムアーバニズムⅠ」、受講者はなんと@woochoi一人。教員である僕と二人きりで授業のスタート。
墨東大学はなかなか豪華なのです。


墨東大学京島校舎にずらっと並んだ木材、電動工具を前に簡単にミーティングを済ませ、さっそく今回の「クライアント」である山田薬局の藤井さんの元にインタビューに向かいます。藤井さんには前もってお店に置く椅子を作らせて欲しいということをお願いしてありましたが、こんな奇妙な願い事にも快く応じて下さる藤井さんは、やはり大きな包容力=墨東マインドを持った方で、今回はその大きな心に応えるべく作業に励みました。
インタビュー場所はまさに椅子が納品される店舗。@woochoiが緊張した面持ちで「どんな椅子が欲しいか」をインタビューします。そこで藤井さんが語った要望は以下のような意外かつ難易度の高いものでした。

・レジカウンターの奥のスペースで使う椅子
・カウンター奥のスペースは奥行きが35cmしかない
・ゆったり座るというよりも、半分立ち、半分座るという姿勢をとりたい

カウンターの奥のスペースは非常に狭小ながらも、お客さんと対面する重要なスペースで、今までは立ったまま接客や伝票整理などをこなしてきたとのこと。ここでの仕事を少しでもサポートするための椅子、というわけです。一瞬@woochoiは(そして僕も)戸惑いましたが、さっそくカウンター奥のスペースと藤井さんの体の寸法を採寸。
「期待してるよ!」という藤井さんの言葉に若干のプレッシャーを感じながらも、実測で得た数字を持って早速京島校舎へ戻ります。


京島校舎では、ブロックと木の板を組み合わせた即席のドラフティングボードの上でスケッチを繰り返します。まずは通常の「椅子」のイメージを崩さなければなりませんから、頭をやわらかくしつつ、壁際で実際に「半分立ち、半分座る」という姿勢をとってみたりしながらデザインを考えていきます。条件は確かに厳しいのですがいままでに見たことのない椅子が出来るかもしれない、という期待感が徐々に高まり、様々なアイデアが浮かび@woochoiのスケッチも進んでいきます。そしておおよその方針がまとまったころ、二人の飛び入りゲストが京島校舎にふらりと現れました。北條元康さんとティトス・スプリーさんです。北條さんは地元工務店の若旦那、ティトスさんは八広に居を構えるアーティストです。最初は冷やかしのつもり(?)で立ち寄ってくれたようですが、@woochoiのスケッチや部屋に並ぶ木材や工具がお二人の心に火をつけたのでしょう、構造や施工面でのアドバイスをたくさんいただきました。


そもそもこの講座は「よそ者」である僕たちが京島の人・まちに寄与することで何かを学ぶ、という講座でしたが、そこに、さらに地元の人達(北條さん、ティトスさん)のサポートが加わり、より深みのある時間が流れはじめました。

デザインも決まったところで、いよいよ部材の切り出し。@woochoi人生初の電動ノコギリです!怪我をしないように、まっすぐに切れるように、まずはいらない木材でカットの練習。いきなり誰かのための家具を作る、という行為は「プロ」ではないからこそできる行為とも言えます。しかし逆に「プロ」ではないからこそ、道具の使い方にはより慎重にならなくてはなりません。何度かの練習でコツを掴んだ後、いよいよ本番。ゆっくり慎重にカットしていきます。最初は不安げだった@woochoiの表情も徐々に自信に満ちていき、順調に作業は進んでいきます。ほぼ全ての部材を切り出したところで、一日目の授業はタイムアップ。翌日の組立て作業に備えて解散。



【二日目:11月21日】
二日目となるこの日は、京島校舎でひたすら作業です。まずは座面をきれいに磨く作業。人の体に直接触れるパーツですから、木材のエッジを丁寧に削っていく必要があります。クライアントである藤井さんと一度きりとはいえ、直接対面し言葉を交わしたせいか@woochoiも座面の磨きにはかなりの拘りをもって臨みます。翌日の筋肉痛など恐れずにひたすらヤスリをかけていき、柔らかい曲面を持ったきれいな座面が出来上がりました。あとは前日切り出したパーツをビス留めによって組み立てていきます。@woochoi人生初の電動ドライバー。やはり最初はなかなかビスがまっすぐに入りませんが、これも練習によって克服し順調に組立作業を行っていきます。このくらいの工程になってくると、@woochoiの表情や仕草、道具使いもかなり頼もしいものになっています。そしていよいよ最後のビスを打ち込んで、完成。


一見、椅子には見えない不思議な形をした椅子が出来上がりました。あちこちから感慨深げに眺めた後、恐る恐る椅子に腰掛けてみます。強度的にも問題なさそうです。たまたま様子を見に訪れていた墨大の加藤先生にも座ってもらいお墨付きをいただきフィニッシュ。なんとも言えない充実感が京島校舎の小さな空間に満ちていく瞬間でした。
そして翌週、この出来立ての椅子を藤井さんに納品しに行きます。納品のことを考えた瞬間、先ほどまでの束の間の充実感は消え、また新たな緊張が僕たちを包みます。藤井さんがこの椅子を気に入ってくれない可能性、使ってくれない可能性は充分にあるわけですから・・・・・

【三日目:11月26日】
いよいよ納品日です。出来上がった椅子を持って藤井さんがいる数軒先の山田薬局に向かいます。
二日目に感じていた緊張感はさらに高まり続け、緊張のピークに達したところでちょうど山田薬局に到着。@woochoiが恐る恐る藤井さんに椅子の完成を伝えます。出来上がった椅子を見た藤井さんは「これが、椅子・・・?」と言いたげな不安げな表情を一瞬浮かべます・・・・そして例のカウンター奥のスペースに椅子を置き、実際に座っていただきました。
藤井さんはさっきまでの不安な表情から一転「こりゃ、いいね。」と僕たちに笑顔を向けてくれました。


@woochoiも満面の笑み。ここでようやく僕たちの緊張も解れます。藤井さんは何度も立ったり座ったりを繰り返しながら「これは世界に一つだけの椅子だね。こんな狭い場所に置ける椅子は売ってないし、助かるよ」と感想を述べてくれました。しかしこれだけでは終わりません。@woochoiは自分の連絡先を書いた紙を藤井さんに渡し「壊れたり調整が必要なときはいつでも連絡ください。」と告げます。そう、この椅子は「一生保障」付きなのです。この椅子がある限り、藤井さんと@woochoiの関係はずっと続いていくのです。最小限の都市計画は、勇気をもって人にアクセスすることから始まるのかもしれない、と感じた瞬間でした。実際見えづらいことではありますが、人と人のつながりがまちを形成する大きな要素の一つであることを墨東のまち、そして人が教えてくれたような三日間でした。
(報告:木村健世)

講義録:カンバッチワークショップ I(オープンキャンプ3)(岡部/加藤)

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※加藤が担当予定でしたが、代講となりました。岡部先生、ありがとうございました。
講義名(担当者):オープンキャンプ3:カンバッチワークショップ I(岡部/加藤)
日時:2010年11月26日(金)18:30〜21:00
場所:京島キラキラ橘通商店街/墨東大学京島校舎
アナウンスされた授業概要:
この日は、各自でまちに散って素材を集め、「墨東カンバッチ」をつくります。受講者は、各自で8(〜10)個のグループで完結するテーマを考えます(例:墨東エリアラーメンやバッチ、墨東エリア不思議看板バッチ、など)。写真やイラストを採集し、バッチにします。完成したカンバッチは、京島校舎のガチャポンで配付予定です。みんなが集めたくなる(コンプリートしたくなる)魅力的なテーマやモチーフで制作しましょう。
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17:30に京島校舎に車で到着。防寒対策のために用意したマットなどを設置し、机も設置した。京島校舎は電気がついていることが確認できて、シャッターの向こうからはウインウインと機械音。車を駐車場にとめてから職員のナカジに聞いてみると、木村さんが椅子の納品のために制作を進めているとのこと。思わず教員2名が別の授業で遭遇し、「大学っぽく」なる。


18時からは懸命に缶バッジの見本を作成。「予習」?または「自習」?してイラストを描いてくれた都市大の堀田さんの「墨東の猫」の缶バッジを 10個作った。18時半、今日の受講生4人が集合。もう「道に迷いました」という声は聞こえなかった。さっそく、加藤先生から指示された缶バッジ作成の心得を伝えて、19:45までにキラキラ橘でのフィールドワークを完了してもらうように伝える。4人はどんなシリーズ/テーマ/モチーフにするかしばし沈思黙考した上で、おもむろにまちへと散っていった。
8個で1つのテーマという課題は、かなり観点を試されるお題で、相当難しいと思う。しかもあたりはどっぷり夜。写真撮影も制限されたはず。しかし、4人のフィールドワーカーはこちらの予想をはるかに裏切る素材とともに京島校舎に戻って来た。


一番早い帰校が19時10分だったため、缶バッジ作成はじゅんぐりじゅんぐりテンポよく進んだと思われる。全員が21時頃には8個作成し、写真を撮影して帰路についた。仕上がった缶バッジの説明は、受講者各自からのメールと写真にまかせようと思う。
(文:岡部大介/写真:ナカジ)

課題:「地域メディア」としての大学(11月23日)

11月23日(祝・火)に開講された特設科目(オフキャンパス)【「地域メディア」としての大学】を受講したひとは、リンク先のページをよく読んで、レポートを提出してください。

課題レポートのページへ

2010年11月21日日曜日

速報:ミニマムアーバニズム(音量注意)

2010年11月20日(土)〜21日(日)にかけて開講された「ミニマムアーバニズム」の様子を見てきました。近いうちに、講義録がアップされるとは思いますが、まずは現場から中継(TwitCasting)された映像です。急に電気工具の音がするので、ご注意ください。

2010年11月20日土曜日

毎日が楽しいぜ!

ちょっと楽しいことがありました。twitterでの話の流れなので、遡るとしばらく前に予兆があったのかもしれませんが、おそらく、コトの発端はこのつぶやきです。
疲れたとか、辛いとか、苦しいとか。そゆのは毎日聞くけど「いま、ほんっと毎日が楽しいぜ!」って、言ってる人にはなかなか会わない。どうなの、これ。( @tokyoicchi 11月17日 10:35AM)
およそ、2分後、@hajimebs さんが、つぎのように返します。
@tokyoicchi 毎日楽しくて楽しくて仕方ない。そのうちにバランス取られるために落雷に遭うんじゃないかと思う。( @hajimebs 11月17日 10:37AM)
ぼくは、さらに3分ほど経って、宛て先もなくつぶやきました。
毎日が楽しいぜ!( @who_me 11月17日 10:40AM)
そんな他愛のないやりとりが、ちょっとばかり盛り上がって「毎日が楽しいぜ!」と思うだけで、何だかとても前向きになれる気になってきました。
ほどなく、#mainichigatanoshiize というハッシュタグが生まれ、実際に「今度、毎日が楽しくて楽しくてしょうがない皆で集まって、どう楽しいか絵に描いて報告しあうっていうめちゃめちゃポジティブな飲み会しましょう。」というつぶやきも…。(途中の経過は省略しますが)けっきょく、墨東大学の講義・実習として「毎日が楽しいぜ!」を開講する話へと展開しました。こうして、わずか数時間で、あたらしい科目が誕生したのでした。2010年12月3日(金)の夕刻、墨東大学・京島校舎にて開講です。(詳細・参加表明はこちらから → http://twtvite.com/bokudai_101203

さて、楽しい…というのは、この科目の内容だけではありません。ちょっとしたきっかけで、つぶやきがスパークし、じゃあ会いましょう、ということになる。〈リアル〉な時間と場所を約束し、それがじぶんのカレンダーに書き加えられます。スピード感はもちろんのこと、素朴にワクワクする過程です。少人数ではあるものの、連鎖反応がコトを起こす(興す)場面に立ち会うことができました。

ご存じのとおり、墨東大学は〈リアル〉な仮想大学です。実際に顔を合わせるものの、まぁ何でもアリ?(言い過ぎかも)の大学です。それは、「毎日が楽しいぜ!」という科目が開講されるだけでも、わかるでしょう…。だから、「ごっこ遊び」として考えれば、このくらいのスピード感やノリは、むしろふつうなのかもしれません。
ただ、〈大学〉をモチーフにしていることで、いろいろなことを考えさせられます。つまり、墨東大学は、この大いなる遊びのなかで、大学の本質について再考する手がかりを提供してくれるように思えるのです。ホンモノの大学(本務校)では、言うまでもなく、講義やゼミにくわえて、会議(○○委員会、△△タスクフォースなどなど)も校務もたくさんあります。時間割やカリキュラムによって、学生と教員の振るまいは高度に組織化されています。学生の意見を取り入れながら、授業を改善しようという試みもあれば、面白くてためになる(なりそうな)講義もたくさんあります。多くの自由が保証されていますが、同時に、多くの決まり事があります。

今回の「毎日が楽しいぜ!」を生み出した過程をふり返ると、じつは、そこに大学の本質が見えるような気がします。つまり、まずは「…どうなの、これ。」という素朴な問いかけがある。それは、通勤電車のなかかもしれないし、ベッドの温もりのなかかもしれない。たんなるつぶやきに過ぎない。それでも、生活(=大げさに言えば生きること)と直結した「どうなの、これ。」だという点が重要です。そして、それに対して「…皆で集まって」というダイレクトな反応がある。さらに、連鎖が続きました。「楽しいぜ!」と叫び合っているだけでは関心しませんが、お互いにその「楽しいぜ!」を共有することをつうじて、そもそもの「どうなの、これ。」に対する答えが見えてくるように思います。個別の「楽しいぜ!」をみんなで眺めることによって、何かに気づくはずです。これって、〈学〉のはじまりなのではないかと思います。それは、現場に密着した〈学〉です。

そんなに気張らずに、とにかく「楽しいぜ!」を紹介し合えばいいのだと思います。でも、あの不思議な(そしてワクワクする)過程に立ち会ったので、いろいろと考えてしまいました。余計な約束事をそぎ落とした、何でもアリ?の墨東大学であるからこそ、感じることができたように思います。
墨東大学は、誰かの「どうなの、これ。」と向き合いながら成長します。毎日が、さらに楽しくなりました。

講義録:童貞美学 I(石田)

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2010年11月20日(土)11:00〜13:00
講義名(担当者):童貞美学Ⅰ(石田)
会場:旧曳舟中学校(墨田区文花)
参加人数:11名(新入生男子2名 教員1名)
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内容:
「童貞美学Ⅰ・Ⅱ」は、さまざまなメディアや文学などに表彰される「童貞」を通じて、女性から見た場合の「童貞性」について考察することをねらいとしている。
第1回目の授業となる今回は、石田による「童貞美学」についてのオリエンテーションおよび『ユリ子のアロマ』を見る際の視点などについての解説が記載されたテキストを読んだあと、墨田区・鳩の街通り商店街エリア出身の映画監督である、吉田浩太氏による作品『ユリ子のアロマ』と『墨田区京島3丁目』を鑑賞しました。また、今後は、受講者が課題として『ユリ子のアロマ』に見られる「童貞性」のありかたを中心にエッセイ(感想)を書き、「童貞性」に関する自らの考え方をまとめる予定です。提出されたエッセイについては、後日ご報告します。



受講者は、メールで事前に「予告編」を見てから、授業に参加しました。


会場はなんと、廃校となった中学校。
学校に入るとすぐ隣に「保健室」と書かれたスペースがあったりして、ドキドキします。


廃校となった教室の1室で、30代が10代の男の子(童貞)の匂いにどうしようもなく惹かれてしまう・・・という映画を見る、という経験はなかなかできるものではありません。

2010年11月19日金曜日

講義録:みんなで昼寝をする(三宅)

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2010年11月19日(金) 11:00〜
講義名(担当者):みんなで昼寝をする(三宅)
集合場所:八広駅
参加人数:4人
内容:荒川で昼寝をするという授業です。
その昼寝のために、前日の徹夜が授業参加の必須条件にしたいと思ってます。そのためにどんなくだらない徹夜をしていたかをそれぞれで報告しあい、みんなで寝ようと思います。同じ授業参加者による徹夜は禁止にしたいと思います。(一緒に飲んでたとか。)
持ち物:昼寝セット。
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11時、八広駅に集合する。瀬谷くんと、渡部くん、中島くんがいた。
僕は、彼らの見た感じの疲れ具合と、タイムラインを見ていたのもあって、彼らが徹夜をしていたのか、そうでなかったのか、その時それぞれになんとなく判断できた。
もうひとりの参加者、大間知くんがトイレから戻ってきた。階段から下りてくる彼は、明らかに足にきている。その姿に不思議になりながらも、みんなで荒川にむかいながらどんな徹夜をしていたかを話す。


瀬谷くんは寝ずに昼寝のための枕をつくり、渡部くんは、夜景の写真を深夜まで撮ったあとは、朝までパソコンのファイル整理、中島くんは、僕は事務局ですからと(いう言い訳を添えて)ちゃんと?寝てきたようだ。そして、大間知くんは、横浜から八広まで歩いてきたそうだ。その距離は3~40kmもあり、夜に出てひたすら一晩中歩き続けたという。数回しか会ったことのない彼らではあったが、それぞれの徹夜の仕方が、見事に自身を表しているなぁと思う。
そう、そして、もう一人事前に参加を申し込んでいた渡邉くんは、「すみません。一瞬の隙をつかれて寝てしまったので欠席させていただきます。」と履修資格を徹底して遵守に参加条件に従った。

昼寝をするための口実としての徹夜。河原でみんなで昼寝を実際してもらうのだけど、そのために行う徹夜こそが実質それぞれの授業ではないかと、授業の始業であり終業のチャイムを鳴らす。みんなでなんだかんだ言いながら、横になり寝ていく。僕は、しっかり6時間寝てきたので、2、30分で起き、その場をあとにする。

サイクリングや犬の散歩で人が行き来する荒川は、芝生もあり、陽気で気持ちいい。スカイツリーを望む秋晴れの河原で、くたくたの身体から陥った昼寝から魔法のように起きた時、そこからどんな幻想が見えるのだろうか。昼寝から覚めた順に終わる授業。本当の授業の外側にある、徹夜や、河原での昼寝を同時に体験するものであった。僕は、爆睡する彼らをおいて、八広の路地に入り込み帰っていく中で、学生だからこそ、ある意味成り立った(?)ようなこの企画を、それが何だったのかであれ、昼寝が出来たことを肯定的に考えうる頭を取り戻している。だって、授業がどうかというより、僕自身が荒川で昼寝がしたかったのだからと無責任に書いてみる。


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受講生・職員フィールドノート
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瀬谷昂宏(ユニット名:3601)
徹夜が必須条件であったため、その時間を費やしひとつの作品を残そうと考えた。様々なアイデアを模索し、実行したのが枕制作である。それを使用して荒川で永眠したかったのだ。猛烈に眠い中、そして手が悴んで震える中、am0800に完成させた。気力だけで電車に乗り逝きそうになりながら八広駅へ向かう。駅前で飲んだホットティーの味は忘れない。八広に集う生徒たちと6時間睡眠を終えた三宅先生と合流し、荒川へ足を運んだ。緑がきれいで、非常に気持ちの良い場所であった。そこで寝っ転がりながら皆の徹夜を語っていく。一人一人、猛烈に素晴らしい表情をしていて、全員が記憶に残る授業になったと言えよう。深い意味を持った授業ではないと思うが、様々な徹夜の手段。人間の個性を垣間見ることができ、非常にユニークな授業であった。



大間知卓(ユニット名:3601)
感想です。誰よりも面白い事ではなく、誰よりもくだらない事をしたかった。全力で。僕は横浜から荒川まで歩いてみた。徹夜で。
東京を横断してまちの違いや人々の文化の違いを知る事ができた。なんていうのは嘘だ。ただ真夜中の銀座をゾンビの様に歩いたのは本当だ。
荒川に着いた瞬間、授業開始のベルでなく、終了のベルがなった。人生の中で最短かつ最長の授業だった。
他の人に理解されなくても、僕が過ごした夜は変わらないし、記憶も無くならない。そう、荒川が三途の川に見えた事もね。
あまりにも衝撃的な授業だったので変な感想?になってしまいました。すみません、書いていて悩んだのですが、もしかしたら変な徹夜の自慢になってるかもしれないです。何かありましたらまた書き直します。宜しくお願いします。

中島和成(墨大職員)
この日は記録として写真を撮るのだからと勝手な判断をし、徹夜せず数時間寝てしまった…。
集合時刻に八広駅に着くと、徹夜明けで寝ていない学生たちがそこにいた。見るからに、自分と表情もテンションも違っていた。会った瞬間に徹夜していないとバレてしまい、どうにかして隠そうと必死になってる自分がいた。表情がイイとはこのことを言うのかもしれない。体調がすぐれているとか、睡眠を十分にとったからとかではなく、一つのコトをやりきったトキの達成感で生まれる表現なのだと…。だから自分に恥じて、必死に隠そうとしていたのかもしれない。
挽回をしようと荒川の河川敷に着いてからは、記録に徹した。講師の三宅航太郎さんからの話も終わり、昼寝をすることになった。ここからがこそ自分の出番だと思い、みんなの寝顔を撮影しようをシャッターを切った。しかし徹夜明けで昼寝をする人にとってシャッター音はうるさかったのか、注意されてしまった…。電車が走る音よりは小さいはずなのに……と思い、僕はカメラを置いて眠りについた。

2010年11月18日木曜日

平成22年度学生/教員募集(チラシ)


すでに動きはじめてはいるのですが、11月10日に京島校舎がオープンし、これから来年3月まで、いよいよ本番です。何よりも、墨東エリアのかたがたへのご挨拶回りからはじめなければならないので、チラシ(入学案内)をつくりました。もうまもなく、刷り上がる予定です。
来週あたりから配りはじめられると思いますが、京島校舎(昨年度の“ロビー” キラキラ橘商店街・交番のすぐそば)が開いているときには、そちらで資料等(それほどないけど)お渡しすることもできます。

それから、墨東大学では学生だけではなく、教員も募集中です。つまり、墨東エリアの題材・素材(ネタ)をお持ちのかたは、bokuto.univ [at] gmail.com までご一報ください。

2010年11月10日水曜日

講義録:迷子学入門Ⅰ(木村)

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2010年11月10日(水)15:00〜18:00
講義名(担当者):迷子学入門Ⅰ(木村)
集合場所:墨田区京島三丁目 原公園
迷い場所:墨田区京島広域
発表場所:墨東大学京島校舎
参加人数:11名(新入生女子1名 新入生男子3名 教員2名)
内容:日常では経験する機会が減ってきた「迷う・彷徨う」という行為を通して「いつもと少しちがう自分」を経験・発見できるかも、という実験(のようなもの)を行います。
複雑に入り組んだ路地空間、にぎわう商店街。参加者は「迷いがいのあるまち京島」を、サイコロを使いながら一人で1時間彷徨います。その後それぞれがまちを彷徨った過程で見たもの、起こった出来事などを墨大京島校舎にてマップに書き込みながら、各々の彷徨い歩きを発表、そして語らいを行います。
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15時、京島3丁目にある原公園に集合。あたりはすでに日がかげりはじめています。夕闇に包まれた彷徨いになりそう。
全員集合後、簡単な自己紹介、サイコロを使った迷い方の説明を行います。使うサイコロは二つ。一つ目のサイコロには直進」「右折」「左折」などを示す矢印が書いてあり、この矢印に従って歩くことになります。(曲がり角がある度にこのサイコロを振ります)もう一つのサイコロ。これは1から6までの目が示してあるごく普通のサイコロ。出た数字によって様々なミッションが与えられます。(これは5分ごとに振ることにしました)
このミッションは参加者全員で話し合って決めてみました。
以下、六つのミッション

1. その場所に名前をつける
2. そのときの心境、状況を五七五でツイートする
3. その場所からスカイツリーを撮影する
4. そのにあるものを拾う
5. そこにいた証をのこす
6. そこにあるなんらかの痕跡から勝手に物語を妄想する

以上のミッションを決めて、彷徨いスタート。ここから先はたった一人で知らないまちを彷徨う、という孤独な道のりです。そうこうしているうちに辺りも暗くなってきました。


みんなが彷徨っているあいだ、僕はオープンしたての墨東大学・京島校舎で「語らい」のためのセッティング作業。
何もないガランとした空間の壁面に、A0サイズの京島の地図を貼り付けます。ここにみんなの迷いの軌跡が落としこまれるわけです。セッティング終了後、僕もまちに出てみます。彷徨い中の墨大生に結構遭遇するかなと思いきや、なかなか出会うことが出来ません。みんな墨東の路地に吸い込まれて消えてしまったのでは(あるいは疲れて家に帰ってしまったとか)と一瞬不安に。しかしそれもそのはず、かつては世界一の人口密度を誇った京島エリアは路地の数も半端ではなく、偶然にまかせて彷徨う彼ら彼女らには「路地裏でばったり」というわけにはいきませんでした。
そして一時間後の集合時間。みんな続々と帰還してきます。駄菓子を食べながら、たこ焼き片手に、拾ったものを大事に握り締めながら。ところが集合時間になっても戻ってこない人も何名か。Bocktの岡部先生もその一人でした。
twitterのTLをみると「ガチで迷いました・・・」という岡部先生のツイートが。この迷子学入門は「迷子」と謳いつつも地図を持ちながらだったり、サイコロに方向を指示されたりで、本当の意味では「迷子」とは言えないわけです。迷子になる練習(?)のようなものです。なので岡部先生のリアルな迷子は気の毒ではありましたが、少し有難く嬉しい事件でした。


そして、全員集合。京島校舎に貼ってある地図にそれぞれの迷いの軌跡をペンで書き込み、その上に与えられたミッションへの回答を書いた付箋を貼り付けていきます。見る見るうちに地図が付箋で埋め尽くされ、一枚のモザイク画のようになってしまいました。これは単純に地図のサイズや付箋のサイズの設定ミスなのですが、たった一時間の間に、たった11人の行為がまちにたくさん積み重なった状態をダイナミックに示してくれているようで、思わぬ驚きを与えてくれました。一時間、11人でこの状態ですから、実際まちに住んでいる人達の行為や記憶はどれだけ大きなボリュームになるのか、想像もつきません。
地図への落とし込みが終わった段階で、それぞれが迷いのレポートを発表していきます。拾ってきた得体の知れないモノについてみんなであれこれ推理したり、場所の特性を読み取った上で不思議な名前をつけられた場所について想像を巡らせたりと、京島校舎での興味深い語らいは続いていきます。与えられたミッション以外にも、自ら子供に話しかけてみてスルーされたり、押上(!)でスカイツリーを撮影しているコミュニティーに混じりこんでみたり、和菓子屋さんにまちの歴史についてインタビューしてみたり・・・・・また逆に、まちのひとに「何やってるの?大変そうだねえ」と話しかけてもらったり。偶然の移動に身を任せつつも、それぞれの積極性をもってまちの断面を覗き込んだ様子が垣間見えて、ものすごくワクワクする時間になりました。


結果として、彷徨いを通じて11人の墨大生がまちにアクセスしたり、まちからアクセスされたり、と大変アクティブ(サイコロに指示されるといことはパッシブではあるけれど)な時間になったと感じました。彼ら・彼女らは「いつもと違う自分」になれたのか?この疑問については残念ながらタイムアップにより詳しく聞くことは出来ず。今度、ゆっくり聞かせてください。寒い中、皆さんおつかれさまでした。ありがとうございました。
(報告:木村健世)

2010年11月6日土曜日

中島くんが、ナカジになるまち

中島くん、いやナカジ、いきなり名前を出してごめんなさい。でも、もうみんな知っているから許してください。先日、bockt(リサーチユニット)のメンバーである岡部さん、木村さんと墨東大学についていろいろ話していたときのこと。とても大切な話題だったので、少し整理しておきたいと思います。冒頭の中島くんは、「墨東まち見世2010」の事務局メンバーとして、そして墨大のスタッフとしても活躍中です。

アートイベントにかぎらず、初めての場所で、見知らぬ人と出会い、そこで関係性を築いていくのは容易ではありません。どれだけ細心の注意をはらっても、人びとの日常生活に「おじゃま」することになるからです。もちろん、アートという活動(そして作品)をつうじて、まちに関わる試みには意味・意義があると思います。でも、その基本にあるのがコミュニケーションであるという点を忘れてはならないのです。
「よそ者」という立場でまちに入り、その中で成員性(メンバーシップ)を獲得していくという過程は、まさしくフィールドワークの基本です。『キャンプ論』のなかでも、そういう説明をしている箇所があります(下図は第5章より)。つまり、まずは「お客さん」としてまちを歩く。やがて「顔なじみ」になり、ラッキーなら「仲間(新参者)」になれる。おそらくは、アートでも、フィールド調査でも、人やまちを対象に活動するのであれば、この道筋はきちんと理解しておく必要があります。それも、アタマだけで理解するのではなく、身体で。
予期せぬ場面でお叱りを受けることは茶飯事。もちろん、暖かく迎え入れられる場面も。とにかく、まちも人も複雑な日常のなかで成り立っているので、そう簡単にはわからない。そういうつもりで、まちを歩き、たくさん刺激を受けることが大切です。


さて「よそ者」は、関係性を築いていくなかで、じぶんの立ち位置をどうやって確認することができるのか。ひとつのわかりやすいサインは「呼び名」です。当然、名前を覚えてもらう/覚えるということ(=つまり、顔と名前が一致すること)は必須なのですが、あるタイミングで「呼び名」が変わることがあります。「呼び名」は、〈関係性の現われ〉です。ぼくたちが誰かに声をかける/声をかけられるという場面では、何か用件があって呼ぶという側面はもちろんのこと、その「呼び方」は、関係性の表明でもあります。

岡部さんの話によると、どうやら〈中島くん〉は〈ナカジ〉になったようです。ぼくも、それにつられて、自然と〈ナカジ〉と呼ぶようになりました。〈中島くん〉にとって、〈ナカジ〉になったことは、きっと嬉しいハプニングだったと想像できます。それは、気まぐれで皆さんがそう呼ぶようになったのではなく、〈中島くん〉が何度も足をはこび、事務局の仕事に真面目に向き合っていた結果なのだと思います。逆に、〈ナカジ〉になったということは、責任を負うことにもなります。ヘタはできなくなります。いずれにせよ、ちょっとした「呼び名」を見るだけで、ぼくたちの関係性を推し量ることはできるように思います。

さて、ここで興味ぶかいのは、〈中島くん〉はどこに行っても、〈ナカジ〉になれるかどうか…という問題です。個人のキャラクターはもちろん、能力や姿勢は問われます。でも、もういっぽうで、まち自体が〈中島くん〉を〈ナカジ〉にしたという側面もあるので、おそらく〈ナカジ〉になれない/なりにくいまちがあってもおかしくはありません。半年で〈ナカジ〉になれるまちと、何年経っても〈中島くん〉のままのまちもあるはずです。
そう考えると、「数か月(じつはそれ以上の時間?)で〈中島くん〉が〈ナカジ〉になれるまち」というのは、まち自体の価値を示す指標になるのかもしれません。厳しい目を持ち、そして同時に優しい。ひとたび受け入れたら、絶大なる信頼と期待でお互いを呼び合う。ナカジが、いわばもの差しになるのです。たとえば、(実現可能かどうかはわかりませんが)ナカジをいろいろなまちに送って、どのくらいの時間で〈ナカジ〉になれるかを確かめれば、それでまちや地域コミュニティのもつ潜在的な「力(capacity)」についての理解や評価ができるのではないか…。そんなことを考えさせられました。

じつは、墨東大学のプロジェクトも、〈大学〉という仕組みや語り口を活用しながら、まちや地域コミュニティを理解することを目指しています。縁あって、墨東エリアでスタートしていますが、可能であれば、いろいろなまちで〈○○大学〉を試してみたときに、まちの理解に役立つのではないかと考えたのです。

たとえば、下記のようなリストをつくることができます。チェックリストのようなものですが、それは、観察者の目線でまちや人に触れながら、逐次書き加えていくリストです。時間は短くても、直感的でも、ぼくたちの「よそ者」なりの感じ方で、まずはこのリストをつくってみることからはじめたいと思います。それは、墨東大学というプロジェクトのひとつの成果になります。

・(まるでアメリカ旅行に行ったときみたいに)すれ違いざまに知らないひとに「こんにちは/こんばんは(アメリカだと、Hi!)」と声をかけられるまち
・iPhoneの充電をしたいとき立ち寄れるカフェ(珈琲店)があるまち
・お総菜がキラキラしているまち
・お総菜を買うと暖めてくれるまち
・お総菜を買うと食べやすいように切り分けてお箸をくれるまち
・ベンチがあってしばし休憩できるまち
・ちいさな飲み屋に常連が集うまち
・ちいさな飲み屋で酔った客どうしがちょっとした怒鳴り合いをするまち
・ちいさな飲み屋のちょっとしたいざこざを仲裁するひとがいるまち

もちろん、ちょっと窮屈に感じたり、?と思ったりすることも出てくると思います。いずれにせよ、墨東に出かけたときには五感を開放して、リストのアイテムを増やすことを考えてみましょう。〈中島くん〉は〈ナカジ〉になりましたが、墨東大学はまだまだです。〈中島くん〉のレベルにも達していません。いろいろ、課題があることは承知の上で、すすめていきたいと思います。まずは〈墨東大学〉の存在を知ってもらうことからです。

2010年11月4日木曜日

講義録:オープンキャンプ2(加藤)

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2010年11月4日(木)18:00〜21:00
講義名(担当者):オープンキャンプ2 墨大PVプロジェクト(加藤)
集合場所:曳舟駅
内容(講義概要より):オープンキャンプは、文字どおりオープンな気持ちで考えている講義・実習です。だから、何をやるか、なかなか決まりません。オープンで寛容な気持ちで参加してください。
と言いつつ、何をやるか思いつきました。11月4日の「オープンキャンプ2」では、わが墨東大学のプロモーションビデオを制作します。撮影から編集まで、YouTubeにアップが完了するまで帰れません。しかも夜なので、どうしましょう…。といろいろ考えながら、作業します。定員6名(くらい)。
参加人数:4人(新入生女子1名, 新入生男子1名, 教職員2名)
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まずは、めでたく完成した墨東大学のPVをご覧ください。



18:00に曳舟駅に集合してスタート。参加者は学生(新入生)2名に教員2名(加藤をふくむ)という、なんとマンツーマン体制。墨東大学はすばらしいです。いよいよ本格的に動きはじめようという墨東大学、課題はプロモーションなのです。まだまだ「内輪」の感じが強すぎるので(最初はしかたないと思いますが)、「墨東大学」ということばが、少しでも多くまちに飛び交うように、プロモーションビデオをつくることにしました。
これまで、「キャンプ」と称して、〈その場で考えてその場でつくる〉というやり方が、面白くもあり、かついろいろな意味で重要だと考えて活動してきたので、この日も撮影から編集、公開(YouTubeへ)まで、墨東で完結させることが課題です。墨東大学は、原則として「宿題」はナシです。だから、家に帰ってから編集する…などということはしないのです。
今回は、なんと全員iPhone(3GS)ユーザーだったので(この所有率の高さもヘンですが)、すべての作業をiPhoneですすめることにしました。いずれは、ケータイひとつでいろいろなことができるだろう…と思っていたので、それを試す意味でもいいチャンスです。

まずは「キラキラ橘商店街」まで歩き、ぶらぶら。できるだけ自然なかたちで撮影しようと考えつつ、新入生のふたりは、いま大学生なので、そのままふたりのやりとりを撮っておけば、PVの素材に使えるはずです。ぼくと木村さんで、適当にiPhoneで動画を撮影しながら、歩きました。途中、某テレビ局の撮影に出くわしましたが、スタッフの数も機材の大きさも、大変なものです。ぼくたちの場合は、大学生がふたり歩き、その前後でちょっと怪しいオジサンたちがiPhoneで動画を撮っているという図柄で、じつに軽やかです。

そして、いい瞬間が訪れました。
ふたりがロールキャベツに惹かれ、動物的に反応していると、ちゃんとキラキラな対応がありました。暖めてくれるし、食べやすいように切ってくれるし、お箸もポテサラ(註:ポテトサラダ)もあるし。それで、ちょっと歩くとベンチもあるし。
そこで二人が話をはじめたところで、超アドリブ、超無茶ブリで、木村さんの背中を押しました。幸い、ロールキャベツに夢中だったふたりも上手く語ってくれました。「どこの大学ですか?」との問いに「墨東大学です」と答えてくれなかったら、当然カット!撮り直しでしたが、幸い、うまく行きました。

それで撮影終了。すべて、テイクワン、です。(っていうか、撮り直しはしない/したくない…ので。)それで、少し夜風で冷えてきたので、木村さんに教えてもらって「東北」という店に入りました。この店で感じたことは、また別の記事で書きますが、4人で卓を囲んで水餃子を食べながらビデオ編集です。


iPhone4だとiMovieのアプリが使えるみたいですが、今回は3GSで動くReelDirectorというアプリ(450円)を使いました。前にダウンロードして、ちょっとだけ触った程度でしたが、まぁそれなりのことはできます。問題はイヤホンがなかったので、(おまけに店は満席で盛り上がっていて)音声を確認しづらかったということ。あとは寄る年波の老眼で、あのちいさな画面でビデオ編集はつらいということ。まぁ編集と呼ぶほどのことはしないのですが、素材を何本かつないだり、タイトルを入れたりして完成。その場でYouTubeにアップしました。ちょっと送信に手間どりましたが、無事にアップロードされたことを確認して解散となりました。

皆さん、お疲れさまでした。